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わたしは、自分が通っている中学校の屋上から飛び降りようとしている『滝ノ上 遙』(たきのうえ はるか)を横目に駆け出して叫んだ。
「命を無駄にするな!!」
そう言って、空に向かって飛んだ。
(無駄にしているのはわたしの方なんだけどねッ!!)
そして地面に向かって落ちていく。
(そう言えば、菜衣子(なえこ)との約束断るの忘れてたかも……)
刹那の時間を感じて、大きな衝撃と痛みを感じて、わたしは死んだ。
わたしは聞き覚えのある声の口論で目覚めた。そこでわたしはわたしに驚いた。わたしは空を漂っていたのだ。下に見えるのは、抜け殻のわたしの身体と、その間を挟んだ両隣りで言い争いをしている両親だった。
(……なんだ、死んでも変わらないのか……)
わたしは落胆しつつも、その場を離れたかった。だから行動に移すと、案の定、壁と壁と擦り抜ける事ができた。わたしは違う形で自由を手に入れたみたいだ。幽霊になってしまったけれど。
次の日の夜に、わたしの葬式が行われるようだ。私の肉体とはおさらばである。わたしは、わたしの葬式のあるお寺に向かったが、見えない何かの影響で入る事ができなかった。多分、わたしが幽霊だからだと思う。そんな時、同じクラスだった3人組の女子が誰かの悪口を言っていた。その悪口の相手とは滝ノ上 遙である。ついでに、その3人組の女子とは、滝ノ上さんをいじめている3人組で、想像するに、それに耐え切れなかった滝ノ上さんが自殺しようと思っていたのだが、わたしが代わりに勝手に飛び降りて自殺してしまったのだ。わたしは純粋に3人組が許せなかった。ずっと傍観していた立場だったが思い切って殴ろうとした。しかし、相手の身体が擦り抜けてしまい不発に終わってしまった。
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