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「流石、勇者として選ばれただけあるわね……抜群のセンスだわ――最初からここまで魔法機士を使いこなせるなんて!!」
「……違…………。こ…………の俺の……」
キャッキャとはしゃぐ少女とは対照的に、震えながら嘆いているのは学生服の少年だった。
「? なに?」
「…………違う…………絶対…………違…………」
「一体なにがどうしたのよ、勇者様?」
「俺の思っていた勇者と違ぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁう!!」
少年の慟哭はコックピットの分厚い装甲と戦闘音で阻まれ、誰にも聞かれることなく霧散するのだった。
「うるっさいわよ!!」
……少年の肩に乗っている彼女を除いて。
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