十字架と救済

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 その言葉は、私の胸の中を掻き毟るように襲った。  それでも、これ以上生き続ける意味なんて。  私はしばらく両脚を川に浸からせたまま、案内人の顔を見つめた。  そこには僅かながら、後悔と自責の念が滲んでいるように見える。  そういえば私の両親は亡くなる前、二日ほど病院で生死の境を彷徨い、それから二人揃って息を引き取ったことを思い出した。  川の水が、急にひどく冷たく感じられた。
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