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「心配するな。この手の話は最後はハッピーエンドで終わるんだ。俺もおまえも無事に奴らを倒して、地球は平和になるさ」
「……クラヴィス。今の僕が消えてしまう前に教えてください。あのとき、あなたが死の直前に僕になにを伝えたかったのかを」
僕はそれが知りたかったんだ。僕がミナトに変わるきっかけになった、君のあの穏やかな優しい顔の意味を。
僕に問いかけられたクラヴィスは少し照れた様子で鼻の頭を掻いた。そして僕に一つウインクをすると、
「それは秘密にしておかないか。今、言わなくても、きっとこれからいろいろと俺たちふたりの薄い本が出てわかるはずだから」
……薄い本?
「かなり恥ずかしい思いもするぞ。覚悟しとけよ」
意味ありげなクラヴィスの笑顔に僕は呆れながらも、つられて笑っていた。
それはミナトではない僕の、最初で最後の笑顔だった。
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