君が最後に伝えたかったことを、今から僕は訊ねに行こうと思う

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 ノイズだらけの大きな画面の向こうの君は、いつもの笑顔を見せていた。ちょっと人を小馬鹿にした、愉しそうな笑顔。でも、その顔は噴き出す汗と血で汚れていた。  皆が君を止めている。口々に君の名を呼び、無謀なことはやめろと叫んでいる。  それでも君の意思は変わらなかった。 「いまが奴らを倒す絶好のチャンスなんだ」 「俺を信じろ」  これが君の口ぐせだった。  君が『相棒』だと呼んでいたロボットから、あらん限りの警告音が鳴り響いている。あの音は油圧系統の損傷で、この音は推進力が保てないことを訴えている。そして、新たに聞こえてきたのはバイタルの低下を知らせる音、つまり君の相棒の人型兵器は、君の生命を維持することが出来ないんだと悲鳴をあげていた。  司令室(オペレーションルーム)の全員の視線が、壁一面のモニターに釘付けになっていた。君は自分の最期を悟ったのか、残された時間のなかで感謝の言葉を紡ぐ。  君の両親に、君と一緒に戦ってきた仲間に、そして愛すべきこの星に。  今までに聞いたことのない音が司令室に響き渡った。これは機体のエンジン部が臨界に向かっている警告らしい。  画面の砂嵐が酷くなる。もう、君の姿を判別するのも困難なほどに。  君を見送る皆が泣いていた。  でも、僕は泣けなかった。  僕は不思議だった。なぜ君がこんな選択をしたのか。
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