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司令室の一番後ろの壁際に立ち、君の最後を見届ける。絶望が支配する重苦しい空気のなかで、一瞬、モニターの画像がクリアになった。
大きく写し出された君の顔。そのゆがんだ青い瞳と目が合った。
君がハッと息を飲んだ気がした。そして、君は初めて皆に見せるであろう穏やかな顔でこう言った。
「最後におまえに」
突然、うるさかった警告音がモニターから聞こえなくなった。同時にフッと映像は消えて、代わりに『No Signal』と無機質な文字がモニターの真ん中に表示された。
君はその命と引き換えにこの星を救った。人々は皆、君の勇気を讃え、君の自己犠牲愛に涙した。
こうして君はヒーローになった。
僕に答えのない疑問だけを残して。
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