君が最後に伝えたかったことを、今から僕は訊ねに行こうと思う

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*** 「なぜ、ここにいる」  声のした暗闇に視線を向けた。僕の目はやられていなかったようだ。  どこからともなく小さな光が僕の目の前に現れると、みるみるうちに輝きを増して、やがて周囲を明るく照らし始めた。あまりの眩しさに瞼を閉じると、また、あの声が僕に語りかけた。 「俺が敵の母艦を沈めて戦いは終わったはずだ。なのにどうして、おまえがここに来たんだ」  薄く瞼を開くと、光が君の姿を浮かび上がらせていた。  君は血まみれのパイロットスーツを着て立っていた。よく見ると右腕が肩から無くなっている。腹にも大きな穴が空いて、そこからピンク色の腸が飛び出している。  ああ、やはりここは死者の国なのだ。 「……痛いですか、クラヴィス・マクレガー大尉」  壊れた操縦席にもたれて、僕はかさつく唇で話しかけた。僕の質問に、ははっと笑った君の腹から血液が噴き出した。 「大尉なんて堅苦しい敬称はなしだ。クラヴィスと呼んでくれ。そういうおまえこそ、身体中炭化していて今にも崩れそうだぞ」  指摘されて、僕は自分の最期を思い出す。網膜を焼く閃光と激しい熱。あの爆発でてっきり体は蒸発するんだと思っていたのに、どうやら違ったようだ。 「死後の世界でも、自分の肉体は保ったままなんですね」 「いや、これは俺たちが思っているイメージだ。でも、これではあの世界の大衆には受け入れられない」  君がいきなり残った左手で僕の右腕を掴んだ。
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