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駅からかなり離れた場所に、看板が立っていた。
宣伝のチラシでは、歩いてすぐです、みたいなことが書かれていたが、二十分以上も歩いて、やっと看板を見つけた。
住宅街。細い路地の入り口に、その看板はあった。
「ラーメン・ラスベガス」
そのネーミングセンスもどうかと思うが、それより気になった事がある。
「サンダーラーメンはじめました」
まるで「冷麺はじめました」のように、堂々と書かれているが、サンダーラーメンって何なんだろうか。それを確かめるためにやってきたのだ。看板に書かれた矢印の教えにしたがおう。
ずいぶんと狭い路地を入って行く。軽自動車なら通れそうな道だが、家の前に置かれた植木鉢やプランターなんかが邪魔をして、クルマは通れそうにない。
家と家は繋がってる、いわゆる長屋構造体になってる。長屋構造体なんて、今思いついた言葉だけど。
アスファルトの上には、子どもたちがチョークか何かで書いた落書きが広がっている。駅から少しばかり離れただけで、昭和世界は残っているものだと感心する。
そんな懐かしい路地の突き当りに、さらに懐かしい雰囲気のラーメン屋があった。本当にあったんだ。こんな住宅街の奥地に。
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