百億の男

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〇飛行機・機内(朝) ケイ、通路側の席で開いた本に突っ伏して居眠りしている。膝に本や資料がたくさん乗っている。 窓側のひげのおじさん(42)が小さく笑う。 アナウンス「ピンポーン。当機はまもなく着陸態勢に入ります」 ケイ、飛び起きる。本のあとが頬についている。 前方のモニタが点灯し、飛行機の前方にピンク色の大きな蓮の蕾が映っている。 ケイ「えっ、ぶつかる?」 頭を抱えたケイの膝から資料が落ちる。 隣のひげ、くすくす笑う。 ひげ「お嬢ちゃんダンジョンははじめてかい」 ケイ「はい」 ひげ「大丈夫、よく見ておくといいよ」 ひげ、窓を指さす。ケイ、身を乗り出して窓をのぞき込む。 〇飛行機、外観(朝) ジャンボジェット、蓮のつぼみに向かって突っ込む。 〇飛行機、機内(朝) ケイ「わあ、すっごい……きれい」 窓の外、ピンクの靄に包まれている。 ひげ「お嬢ちゃん、最初のダンジョンの街、ギリシア、イオアニアへようこそ」 靄が晴れ、湖畔の街と飛行場が見える。 〇イオアニア飛行場前ロータリー(朝) ケイ、飛行場から大きなスーツケースを引きずりながら出てくる。 ケイ「あれが……ダンジョン」 前方には賑やかな商店街、その奥にダンジョンである巨大な蓮の葉とつぼみが空に浮かんでいる。
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