百億の男

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〇夕暮市役所(夕方) ハナ、デスクで伸びをする。十八時。 同僚「お疲れ様でーす」 ハナ「お疲れ様です」 ハナ、スマホを見る。 ハナ「ケイは今昼ぐらいかな」 チャットアプリをたちあげ、ケイ宛に「仕事疲れたよ~!」と入力して、消す。 ハナ「私も帰ろっと」 〇酒場・テラス席 テオ、酒場から出てくる。 テオ「すまんね、どんどん治安が悪くなってしまって。これ、サービス」 テオ、グリークサラダをテーブルに置く。 ケイ「わ、ありがとうございます」 テオ「ダンジョンができる前は静かな田舎町だったんでね。俺も荒事は慣れないよ」 テオ、笑いながら腕を曲げて筋肉を見せつける。筋骨隆々。 ジャズ「そこでお嬢さん、二八でどう?」 ジャズ、勝手にギリピタの具をつまむ。 ケイ「ニッパチ?」 ジャズ「用心棒。探してんでしょ?」 テオ「分け前で揉めないように、先に取り分を決めるんだよ。相場は六四。そいつはぼったくり」 ジャズ「テオさん、商売の邪魔しないでよ。基本料金おまけするから。どう?」 ケイ「おいくらですか」 ジャズ「ギリシア一うまいギリピタ一個、どう?」 テオ「がはは、そりゃ高いぜ!」 ケイ、わたあめを見る。わたあめ、ジャズにすり寄る。 わたあめ「きゅいっ」 ケイ「じゃあ、お願いします。わたし、雲井ケイ、学生です」 ケイ、ジャズに向かって握手の手を差し出す。 ジャズ、勢いよく手を握る。 ジャズ「ジャズ・パワーマン。本名だよ」 〇ECB麻術部門イオアニア支店・廊下 石造りの古びた作り。室内であるが、蔦などが這っている。 ルカ・ハーゼ(29)、背中を丸めてスマホで通話している。 ハーゼ「はい、はい、申し訳ありません」
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