第一章:人を評価するAI

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「何故本来であれば当たり前のはずの成果主義がうまくいかないのか? それは、成果を評価する側もまた人間である以上、正確な成果の評価などできないからです。生意気な部下は成果を挙げても低い評価をつけ、従順な部下は大した成果を挙げていなくても高い評価をつけたくなってしまうのが人情というもの。  まあ、何の成果も挙げていない人間に高い評価をつけるなどというあからさまなことをすればさすがにバレますが、お気に入りの部下が関わっているプロジェクトがうまくいっておらず、嫌いな部下のプロジェクトの方が成功確実な状況になった時に二人の立場を入れ換えるなど、抜け道はいくらでもあります。  そうした評価者側が不誠実なケースについては言うまでもありませんが、たとえ評価者が誠実であったとしても、多くの人々の業務が複雑に絡み合うケースでは、誰がどの程度その結果に寄与したのか正確に評価することは困難です。いや、不可能と言っても良いでしょう、人間の脳の情報処理量では。     
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