あらすじ

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 正義とは何ですか、アベル様。  伊東翔馬は赤透明な自動車に轢かれ、気づいたときには神様に囚われていた。  俗臭漂う翔馬に神様アベルは一つの条件付き転生を持ち掛けられる。それは所謂、王道の異世界転生の強要だった。  潤沢な知識、豪傑足る肉体、天武の才。人間が受け取るに烏滸がましい特典を貰い、翔馬は現実へと還るため異世界を無双する。  異世界に渡り、数年後。異世界に蔓延る悪を全て打ち倒し、異世界転生の条件「正義を明かす」ことに成功した翔馬はアベルと再対面する。  異世界に魅了され仲間と共に生きていく事を決意していた翔馬は新たな冒険に思いを巡らしていたが、アベルは残酷非道にも現実を告げた。 「君の没収が決まったよ、良かったね」  それは死の宣告に、存在の破壊宣告にも等しかった。それは天使の奴隷かを意味し、無限の拷問地獄を指していたからだ。  翔馬は冷静に反論、焦燥に抱かれ言い訳を、遂には泣きわめきながら焦げる舌で神の足を舐め、生かしてくれるよう懇願を始めた。  哀れみなのか、虐待心なのか、没収の理由を静かに語り始めた。 「魂の転生は以下の条件を満たす場合行う。 一、神への反逆行為は魂の即刻没収とする。 二、異世界で無闇な殺人、怪異の討伐は生命の安定を崩すとし、これを禁ずる。また、違反行為は魂の即刻没収となる。 惜しかったねぇ。君は二つの条件はよく遵守していた。けど、最後の条件、三つ目三つ目を確実にやぶってくれた、ものの見事に破ってくれた。残念だよ」  条件の三、それは正義を持つものを殺害もしくは生命の侵害行為は魂の没収に値し、ペナルティを受ける。と、アベルは殴り書くように続ける。  翔馬は泣きながら絶望して、この神への憎しみを抱いた。本当に僕を生き返す約束は嘘だとすら思った。神は嘘つきだと。  だが、嘲笑うかのように神は気まぐれだった。
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