誠実な愛

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誠実な愛

今日も私は一人でいきつけのBARへ向かう。 未だに、三十を目前に結婚する相手もいないのに、周りからは結婚だの、出産だののラッシュで、気持ちが落ち込んでいた。 そんな愚痴をバーテンダーの葵くんに聞いてもらうために、やってきた。 彼は大学の頃の後輩で、その頃からこのBARでバイトをしていた。 「先輩、いらっしゃい」 開店と同時にいくと、BARに客はまだいないことが多かった。皆、やはり2件目使いでBARを利用する人が多いのだろう。 でも、私は違う。 この誰もいない空間の方が、気持ちが楽になれる。 「こんばんは」 葵くんはおしぼりを私に手渡ししてくれる。 「今日は何にする?」 「強めのお酒が欲しいな。ちょっと愚痴りたい気分」 「何かあったの?」 「んー、ただの僻みだよ。結婚ラッシュが今きてて、少し前に結婚した子たちは出産ラッシュ…私なんて、相手すらいないからさ」 そんな私の愚痴をききながら、葵くんはお酒を棚から探した。
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