生きてつなぐもの

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 しなせるとかわいそう、という話から、どうしてそうなるんだ。  うちの畑でもそうだけれど、この時期、オクラやトマトなんかにカナブンがあつまってくる。 「そうかぁ」  と、おじさんはわらった。ぼくも、つられてわらった。 「そうだ。後で、スイカを持って行ってあげるよ。直太ちゃんの家のと食べくらべてみな。今年は雨が多くて、いまいちかもしれないけどな」 「うん。ありがとう」 「大きさだけはあるから。びっくりするぞ」  おじさんが自転車にまたがった。右手を上げて、ペダルをふむ。のんびりとコンクリートの道をすすんでゆく。 「うちのは、アナグマだかハクビシンだかに食べられているけれど。おじさんのとこはじゅんちょうなのかなぁ」  スイカ。  やっぱり、きたいしてしまう。  スイカを食べあきるぐらい食べたら、いつもの夏だよな、って感じになるんだ。  こまったような楽しいような、そんな気持ち。  口が半びらきになっていた。気づいて、つぐむ。  カボスの木を見てみると、ノコギリクワガタが、話はおわったの? という感じで、じっとしていた。あまりにもじっとしていたから、なんだかおかしくなった。 「……お前、この夏をどうすごすんだ?」  つい、聞いてみる。
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