episode1 「団体」

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南入星検問所---- ノックの音がして、ドアが開かれ、第一発見者の小太りの中年火星人の清掃員が部屋に入って来た。 「失礼します…」 まだ動揺しているようで、しばらくドア付近で佇んでいる。 「彼がサクナの遺体を見つけたんです。名前はドラス・トート。臆病な性格で、自分が通報したら真っ先に疑われると思ったみたいで、代わりに私が通報したんです」 ラダは、佇んでいるドラスの元に寄り、事情を説明した。 「気持ちは分かります。こんな制服姿だと変に警戒してしまいますよね。私実は制服嫌いなんです」 リーンはドラスに優しく話しかける。 リーンの場を和ませる一言に笑みがこぼれるパスラ。 ドラスも気持ちが落ち着き、ソファーに腰掛け、肩をしぼめて話をする。 「いつもと同じ時間にあのトイレを清掃するんです。その日もいつも通り清掃していたら、僕たちと同じ色の血が流れてきて…」 「それでご対面って訳ね」 パスラが答える。 「えぇ…でも、なんであんな場所に…」 「遺体のポーズを見ても分かるけど、相当な恨みがあったんでしょうね」 「と言うと?」 パスラの一言に反応するラダ。 「まず「O」の紋章を意味する、円に沿って張り付けられた遺体は、団体の意思で行われた犯行を意味しているはずよ。そして、問題の場所…」 「トイレは排泄する場所=侮辱を意味しているんです。だから、犯人は相当な恨みを持っている」 パスラの話を折るようにリーンが解説した。 「「O」を名乗っての犯行に加え、その遺体をわざわざトイレに置くなんて…」 ラダが顔をしかめる。 その時、リーンがあることに気付く。 「わざわざ「O」を名乗る…「O」の犯行に見せかけている…?」 「だとしたら、犯人は「O」以外の可能性も出てくるわね」 「サクナさんに関係している人物は奥さんのミシエさん」 リーンとパスラが推理を始める。 「待ってください、「O」以外の関係者ならミシエさんの他に反対運動のメンバーもいます」 ラダが推理を止める。 「反対運動?」 リーンが聞き返す。 「「O」は異星人禁制の団体。しかし、その宗風が差別だと非難するグループがいて、今ではかなり過激なようですよ。そこにサクナが所属していた噂がるんです」 「その団体のアジトって分かりますか?」 「ここからそんなに遠くないですよ。確か…南エリアD 12ブロックの廃工場です」
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