episode1 「団体」

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「随分詳しいんですね」 「この南都市で生まれて今に至りますからね。知らない場所は殆どないですよ」 リーンの質問に優しく答えるラダ。 その間にパスラは反対運動グループのアジトまでの道のりを、専用端末で調べていた。 「ここから車で20分くらいね」 「言ってみますか」 「そうね」 「行くのであれば、どうかお気を付けて…。連中は過激です」 ラダは、リーンとパスラを心配していた。 「訓練しているので、きっと大丈夫です。今日はありがとうございました」 リーンが先に立ち上がり、ラダとドラスに一礼した。 「何かあったらこの番号まで」 パスラが、北支局の番号が書いてあるカードを渡した。 二人は、南検問所を後にしてパトカーに乗った。 「どこまで過激か想像がつかないわね」 「えぇ、少し怖いです」 「私もそうだった。でも慣れるわ。銃のセイフティを外しておいて」 「了解です」 パスラがエンジンを掛け、パトカーを走らせる。 一方「O」のアジトにいるホリディとキングは----- キングが、腕に付けている専用の端末をテーブルに置き電源を入れる。 すると、電子モニターが展開されて、殺害に使われたとされている短剣の情報が表示された。 「この短剣は…」 情報を見てブラセルは顔をしかめる。 「ここに来た理由が分かったようだな。そこで、信者が必ず所持しているという短剣を片っ端から調べたいんだが」 ホリディがコーヒーを一口飲みブラセルに詰め寄る。 「疑われるのは好きじゃありませんからね。協力はしますよ。私の声掛けがあれば皆さんは従ってくれるでしょう。もちろん、全員を呼んだことを確認できるように、登録書をお渡しします」 ブラセルはあっさりと引き受け、登録書を取りに部屋を出た。 「このコーヒーなんか不思議な匂いがするんだよな」 ホリディは、嗅いだことのない匂いに興味を持っていた。 「毒でも入っているのか?」 「いや、味はかなり美味しいんだけどな。あとで聞いてみよう」 ブラセルが登録書を持って部屋に戻ってきた。 登録情報はすべて一台の端末にまとめられているようだ。 「お待たせしました。この登録書はお貸しします。安定した所に置くと電子モニターが開いて信者の情報が表示されます。それで全員集まっているか確認してください。私は信者を集めてきます」 ブラセルは再び外へ出て行った。
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