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「随分詳しいんですね」
「この南都市で生まれて今に至りますからね。知らない場所は殆どないですよ」
リーンの質問に優しく答えるラダ。
その間にパスラは反対運動グループのアジトまでの道のりを、専用端末で調べていた。
「ここから車で20分くらいね」
「言ってみますか」
「そうね」
「行くのであれば、どうかお気を付けて…。連中は過激です」
ラダは、リーンとパスラを心配していた。
「訓練しているので、きっと大丈夫です。今日はありがとうございました」
リーンが先に立ち上がり、ラダとドラスに一礼した。
「何かあったらこの番号まで」
パスラが、北支局の番号が書いてあるカードを渡した。
二人は、南検問所を後にしてパトカーに乗った。
「どこまで過激か想像がつかないわね」
「えぇ、少し怖いです」
「私もそうだった。でも慣れるわ。銃のセイフティを外しておいて」
「了解です」
パスラがエンジンを掛け、パトカーを走らせる。
一方「O」のアジトにいるホリディとキングは-----
キングが、腕に付けている専用の端末をテーブルに置き電源を入れる。
すると、電子モニターが展開されて、殺害に使われたとされている短剣の情報が表示された。
「この短剣は…」
情報を見てブラセルは顔をしかめる。
「ここに来た理由が分かったようだな。そこで、信者が必ず所持しているという短剣を片っ端から調べたいんだが」
ホリディがコーヒーを一口飲みブラセルに詰め寄る。
「疑われるのは好きじゃありませんからね。協力はしますよ。私の声掛けがあれば皆さんは従ってくれるでしょう。もちろん、全員を呼んだことを確認できるように、登録書をお渡しします」
ブラセルはあっさりと引き受け、登録書を取りに部屋を出た。
「このコーヒーなんか不思議な匂いがするんだよな」
ホリディは、嗅いだことのない匂いに興味を持っていた。
「毒でも入っているのか?」
「いや、味はかなり美味しいんだけどな。あとで聞いてみよう」
ブラセルが登録書を持って部屋に戻ってきた。
登録情報はすべて一台の端末にまとめられているようだ。
「お待たせしました。この登録書はお貸しします。安定した所に置くと電子モニターが開いて信者の情報が表示されます。それで全員集まっているか確認してください。私は信者を集めてきます」
ブラセルは再び外へ出て行った。
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