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「随分と協力的だな」
ホリディが不思議がる。
「ご自慢の団体が少しでも疑われるのが屈辱なんだろう」
「まぁ、どっちにしろ協力してくれるのはありがたいことさ」
「しかし、全員分の短剣を調べるのは骨が折れそうだぞ」
キングが受け取った登録書で団員の情報を開いていた。その数、120人。
「鑑識を呼ぼう。こりゃ二人だと日が暮れちまう」
「あぁ」
キングは、専用端末で局に連絡し、鑑識を呼んだ。
反対運動グループのアジトの近くに到着したリーンとパスラは…
アジトは、ブロック型の建物でダクトや錆びたパイプが剥き出しになっていた。
一見変哲もない廃工場だ。
路地裏にパトカーを止め、裏口から入る。
それもそのはず、向かうパトカーの中で調べた情報によると、グループ
は武装しており訓練も受けている。
「この手の反対勢力は警察を嫌うから、正面から入るのは自殺行為よ」
「裏からこっそり入るわけですね」
パスラを先頭に、裏の扉へ向かう。
扉に着いたと同時に、ピッキングを始めた。
ガチャッとドアノブが回転して錆びた扉が開く。裏の通路は使っている痕跡はなく、電力
が供給されておらず真っ暗だった。
「電気が来てないみたいですね」
リーンが腕の端末を点灯モードに切り替え、通路を照らす。
続いてパスラも照らした。
通路の壁には大蛇のようなパイプとダクトが張り巡っていて先まで続いている。
「こっち側は長らく使ってないようね。行くよ」
パスラは、腰に付けたハンドガンを抜き、先頭を切る。二人は点灯モードにした端末が装備された右腕を前に、ハンドガンを持った腕をその後ろに構えた。
真っ暗な通路を照らしつつ進んでいく二人は、階段を上り二階に上がった。
二階も同じくパイプとダクトの壁が続いていた。進んでいくと明かりの着いた通路が見える。
「明かりが見えるわ」
パスラを先頭に、明かりの点いている通路に出る。人影は無さそうだ。二人は、点灯モードを切って両手でハンドガンを構え直した。
背後にも警戒しつつ進んで行く。突き当りに来たところでパスラが右手を上げて止まれ合図を出した。
「どうしたんですか?」
「声がする」
「二人…ですかね」
「こっちにくる…訓練通りできる?」
「はい!」
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