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曲がり角に背中を付け、二人組の見回りを待ち伏せした。
背後をとると同時に後頭部をハンドガンの持ち手の部分で殴り、気絶させた。
二人組は倒れ込む。
気絶したのを確認したリーンとパスラは更に先へ進む。先へ進むと開けた場所に出た。一階の中心部を囲うように足場が出来ていて、吹き抜けになっている中心部が丸見えだった。
中心部では、グループの幹部が巨大な電子モニターを囲って何かを話し合っている。
リーンとパスラは姿勢を低くして、聞き耳を立てる。どうやらサクナが殺害された情報が入ったらしく、その件で話し合っているようだ。
「サクナが殺された…これを見てほしい」
長身で黒髪をボブくらいの長さまで伸ばし、綺麗な緑色をした瞳の男、ゼブラ・トリックが電子モニターを操作してサクナの情報を表示させる。
赤髪で短髪、黄緑の肌をした火星人ハーフのトーマが声を荒げる。
「何故だ…何故だ!」
近くにあったイスを蹴り上げる。
「見ての通り「O」を意味するポーズで殺された。俺たちはただ、介護放棄された老人や重病人を「O」の財団に支援してほしいだけなのに…何故死人が出る」
ゼブラが悲しげな表情で、訴える。
それを二階で聞いていたリーンとパスラ。
「二つの勢力がぶつかる理由が分かった気がします」
「「O」財団は医療施設の支援をしている?」
「そのようですね、でもなんで局内の資料室では表示されなかったのでしょうか」
「火星人を嫌う団体だから注目されることを避けて、秘密裏に支援している可能性があるわ。でも問題なのは、局内の膨大な資料に載っていなかったこと」
「局内で手を引いている人がいる?」
「そうね…。今は、このグループの情報が最有力ってことになるわ」
廃工場の地下室は、火星人と地球人の重病人や介護放棄された老人が100人ほど暮らしていた。
「それでも、あの人たちを救うには奴らの支援を頼るしかないんだ。そして、同じような境遇を持った人々が救われるために」
ゼブラは、地下に繋がる階段を見ながら言った。
「なんか、話と違う感じですね」
「さっき倒した見回りも武装していなかった。警戒して裏口から入ったけど、話が通じるかもしれない」
「でも、何を持っているか分かりませんよ」
「その時は…」
パスラがウィンクして立ち上がり、一階に繋がる階段へ向かった。
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