episode1 「団体」

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「なんだと!てめぇ俺たちが火星人だからって差別するのか!」 サクナは熱くなりやすい性格で、ブラセルのむなぐらを掴んだで罵声を浴びせた。 「サクナ!よせ!」 ゼブラとトーマがサクナの両肩を持って止めに入る。 建物内にいた信者たちがざわつき始めていた。 それでも、サクナの怒りは収まらない。 「命は平等のはずだ!異星人だって同じ命を持っているんだぞ!」 「無礼者が!!」 その時ブラセルはサクナの頬にビンタをした。信者を含め辺りは騒然とする。信者たちの崇めていた教祖が目の前で暴力を振るったのだ。 突然の暴力に動揺したサクナはブラセルを突き放し、訴えた。 「こんな差別主義者があんたらの長なんだぞ!変えるべきだろ…団結力はあるはずだ。皆が協力すればもっと沢山の人が救われる。地球人も火星人も関係ないはずだ…あんたも、過去の柵から抜け出すべきだ」 サクナは、ブラセルの目を見て訴え続けた。 「さっきはすまなかった…俺たちの意見も…聞いてほしかったんだ…」 「…いえ…私にも非はありました。…うちは代々人類以外を受け入れていません。神は我々に試練を与えるだけで、救ってはくれない。行動を起こせるのは人間だけです。そう聞かされ育ってきました…」 ブラセルは俯きつつも、人類以外を受け入れない理由を語った。 「あなたの意見も分かります。しかし…それこそ、変えるべきなのでは?今は、異星人と人類が力を合わせる時代だ」 ゼブラが返す。 「…そうですね…私の視野が少々狭かったようです。前向きに検討しますのでお時間を頂けますか?」 ブラセルの表情は通常に戻り、和解したようにも見えた。 「ありがとうございます!」 ゼブラたち三人は深々とお辞儀をする。 「このカードに俺たちの番号が書いてあるので」 ゼブラはブラセルに、個人番号の書いてあるカードを渡した。 「分かりました。明日中には連絡します。…それでは」 ブラセルは静かにドアを閉めた。 「分かってもらえたのか…?」 トーマがゼブラに確認する。 「分からない…さっきの暴動が心配だ…」 「すまなかった…」 サクナが謝罪する。 「過ぎたことだ。おそれにあの発言はブラセルにも非がある」 「…ありがとう」 翌日、サクナの専用端末に通信メールが入った。ブラセルからだ。
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