episode2 「愛の行方」

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「ブラセルは何かを握っているかもしれないわ。ホリディとフレイムは局で合流、キングはそのまま「O」で調査、私とリーンも一度局へ戻るわ」 パスラの指揮の元、次の指示がチームに下された。通信が切られ、それぞれの任務につく。 「ブラセルは他の捜査官に任せるわ。私とリーンも一旦局に戻って調査を進める」 パスラはゼブラに報告した。 「うちの局の給食課にも連絡がついたので時期に来るでしょう。一時的ですが、事件が片付くまでは支援できます」 給食課に問い合わせていたリーンが報告した。各局には食堂が設けてあり、調理師のことを給食課と呼んでいる。 「あんたたちは本当に良い警官だ。珍しいよ」 ゼブラがお礼の言葉を掛けた。 「今の俺たちは、ただの反対ゲリラ集団として市民に知られている。手を貸せるのはここまでだ」 トーマが現状を伝えた。 「でも、有力な情報をくれた」 「待っててください、地下の人たちのためにもこの事件を必ず解決します」 「O」のアジトにいるキングとホリディは------ 「じゃあ後は頼んだぜ」 ホリディはそう言ってエンジンを掛け、パトカーを走らせた。 残されたキングは、引き続き鑑識と「O」について調べる。 まず、パセラに言われた通り、ブラセルの通信について聞く。 「ブラセルさん、事件の一週間前、サクナ・マンティスに通信した?」 「何故知っているのです?」 「聞いているのはこっちだ、その反応はしたんだな」 「えぇ、事情がありまして」 「聞かせてもらえるか?」 「彼は「FRIEND」と呼ばれるボランティア支援グループのメンバーで、うちの団体が行っている医療支援をしてほしいと頼まれたんです。しかし、その中には火星人もいました。知っての通りは「O」は人間以外を認めていないので、火星人の支援はできないと答えたら、罵声を浴びせられました」 「暴力沙汰に?」 「いや、先に暴力を振るったのは私の方なんです。異星人を受け入れないソマード家の流儀に縛られ続けていて正論を言われたのが悔しくなって…。その件で謝罪しようと思いサクナさんに通信して落ち合う約束をしたのです。サクナさんと合い、軽くお茶をしました。その異様な光景を亡くなられた祖先が見たらと思うと…」 「笑えるな…」 「えぇ、可笑しな話です。小一時間程話して、支援ができるように機関に提案してみると約束した矢先の出来事でした」
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