8人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
ブラセルは自分の端末で通信履歴をキングに見せた。確かにサクナと連絡を取っていた。
「本当のようだな…」
その時、鑑識の一人がキングの元へ来て、ブラセルに聞こえないように耳打ちした。
どうやら、団員の短剣が調べ終わったらしい。
「ブラセルさん…どうやら、あんたの短剣に僅かだが火星人の血痕が検出されたらしい」
キングは、鑑識から耳打ちされた事をブラセルに話した。
ブラセルは動揺する。
「そ、そんな何故です!私は無実だ!」
「落ち着いてくれ、あんたが犯人と言っている訳ではない。しかし、一度局まで来てもらう必要がある」
「…ば、ばかな…」
驚愕の真実に膝から崩れ落ちるブラセル。
「鑑識チームの車に二人乗れるか?」
「えぇ、二人なら余裕があります」
キングは鑑識に、車を出すように指示し、ブラセルの肩を持つ。
程なくして、ブラセルを連れたキングも局に到着した。
放心状態のブラセルは一時、留置所に入れられ、ミーティング室に現場チームが集結した。北支局のミーティング室は、中心に円形の端末があり、それぞれの情報共有と検索ができ、囲むように席が並べてある。
「ブラセルの短剣から血痕が見つかったのか!?」
ホリディが最初に食いついた。
「あぁ、鑑識の調査によると間違いなく火星人の血痕らしい…それもサクナの血液とほぼ一致する」
キングはブラセルが話していたサクナとの和解のエピソードを思い出し、気が重くなった。異様な感じをリーンに悟られた。
「どうかしたんですか?」
「パセラが言っていた通り、ブラセルは事件の一週間前にサクナと合っていた。医療支援の差別についてサクナとひと悶着あったらしい」
「見ていた信者の誰かがメディアに広めた。「FRIENDO」はボランティア支援グループではなくて反対ゲリラ集団だと」
「FRIENDO」の元を訪れていたパスラが付け足した。
「その悶着でサクナの正論に心が打たれて、異星人差別をする家系に何もできない自分が悔しくてサクナに暴力を振るった…。後日サクナを呼び出して謝罪、支援の相談を前向きに検討していたらしいんだ…ブラセルは」
キングの表情はやはり険しかった。
「今は短剣と残された血痕を調べるしかないわね…。ホリディとフレイムは何か見つけた?」
最初のコメントを投稿しよう!