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「例の不思議な匂いのするコーヒーなんだが、「O」で出された物と奥さんのところで出された物が同じ種類と判明した」
ホリディは、ミーティング室のテーブルに、そのコーヒー豆を置いた。
「勝手に持ってきたんですか?」
リーンが少し引いたような表情でホリディに聞く。
「まぁ、そんな所だ」
「そんな顔しないでくれ」
フレイムが引いているリーンを説得した。
「話を戻すぜ。このコーヒー豆はかなりレア物でトリー市場の裏路地にあるポットコーヒーという店にしか置いてないんだ」
「トリー市場って、西都市にある火星では1番大きい市場よね…」
パスラはその市場を知っていたようだ。
「あぁ、それで情報室で検索してみたら1日5パック限定らしくて予約するか、余程の常連じゃない限りは手に入れられないらしい」
「奥さんは、夫がコーヒー好きと言っていたが嘘だ。ポットコーヒーに問い合わせたところ予約履歴にはサクナの名前は無く、ミシエ・マンティスの名前があった」
解説がフレイムに変わる。
「なんだと!…ブラセルは確か友人にもらったと言っていたな」
キングが、コーヒーを差し出された時にブラセルが言っていたことを思い出した。
「あぁ、そこでピンと来たんだ。ブラセルはミシエ・マンティスと顔見知りの可能性がある。今はお前がブラセルの理解者だろう…頼めるか?」
ホリディはキングを見て、ブラセルに尋問するように指示を出した。
「そうだな」
そう言ってキングは、留置所に向かった。
「でもブラセルさんが犯人じゃないとして、短剣はどうなるんですか?」
リーンが血痕が検出された短剣の情報を見ながら言う。
「入れ替えた可能性は?」
パスラが推理した。
「犯人がサクナさんを殺す時にだけ本物の短剣を使った」
「アジトでブラセルの短剣は、部屋のショーケースの中に入っていた。律儀に名前の彫られたネームプレート付きでな。ブラセルが怪しまないように、持っていかれた短剣と瓜二つのレプリカを置いたのか…待てよ」
ホリディが、鑑識チームに通信した。
「聞こえるか?ホリディだ。ブラセルの短剣を調べたのは誰だ?」
『僕ですが?』
鑑識の火星人ハーフで薄紫の肌をしているラットが反応した。
「よく聞いて思い出してくれ。短剣はショーケースにあったよな?」
『はい』
「ケースに鍵は付いていたか?」
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