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『えぇ、番号式の鍵が付いていました。押収したので届けますか?』
「キングのいる留置所に届けてくれ」
『了解しました』
「鍵が以前の物と違うなら短剣を入れ替えた可能性がある…。俺もキングの所へ行く」
そう言ってホリディも留置所に向かった。
「私たちはミシエの身元をもっと深く探ってみましょう」
「はい!」
残されたパスラ、リーン、フレイムは情報室に向かう。
留置所のキングとブラセルは------
キングが既にミシエのことを聞いていた。短剣の血痕のことで疑われたことにショックを隠せないブラセルは、俯きつつもキングの質問に答えた。
「えぇ、すぐに退団してしまいましたが綺麗な方で優しかった…。話も合う方でしたよ。ミシエさんがどうかしたんですか?」
「サクナの奥さんだ」
「なんと…そうでしたか。急に来られなくなったので少し心配していたのですが…。あなたの相方にお出ししたコーヒーも彼女がくれた物なんです。とても希少な種類だとか」
その時、留置場の諮問認証式自動ドアが開き、現場で押収した鍵を持った鑑識のラットが入って来た。
「失礼します。これを届けてほしいと言われて」
ラットはキングに鍵を渡した。
「鍵…」
「ブラセルさん、この鍵をよく見てくれ!」
ホリディも合流して、ブラセルに尋ねる。
「短剣のショーケースに使われていた番号式の鍵だ」
「確かにデザインはかなり似ていますが、違います。私が使っていたのはここに模様がある物でした」
ブラセルは、鍵の持ち手の部分を指差して言った。
「おそらく、何者かにすり替えられている」
「そんな…短剣も入れ替えたと?」
「可能性はある…ブラセルさんの部屋に怪しまれずに出入りできる人物…」
「ミシエ…マンティス…?」
キングが答える。ホリディがキングの顔を見て頷く。
「お恥ずかしい話なんですが…ミシエさんはとても美しく優しい方だったので、是非ともゆっくりとお話がしたいと思い、頻繁に部屋に招いていたのです…。もしかしたら、嬉しさで注意力が散漫してしまったのかもしれません」
「魔性の女という言葉が似合いそうだな。その時に短剣を入れ替えて、犯行に使った…」
ホリディたちの推理が当たったようだ。
「コーヒーの件も一致した。だが、進展はしたが動機が分からない…」
キングが再び深刻な表情に戻る。
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