episode2 「愛の行方」

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程なくして、鑑識チームの大型車1台と、ホリディとキングが乗るパトカーがミシエの自宅に向かった。 「もし、今回の騒動をカモフラージュに利用していたなら高跳びする可能性がある」 ホリディが運転しながらキングに話しかける。 「悔しいが時間稼ぎには十分だ」 キングはいつも通り冷静に答えた。 ホリディは、ギアをトップに入れてパトカーの速度を上げた。 局内-------------- リーンがパトカーを配車していた。局では螺旋状に格納されている巨大駐車場で、各捜査官の登録番号を入力し、パトカーを配車することで個人車として使用できる。盗難防止の処置だ。 その時、リーンの専用端末が鳴った。キングからの通信のようだ。 『キングだ。「O」の所へ行くならブラセルも同伴させた方がいい。警察だけだと変に警戒するかもしれないからな』 「はい、了解です!」 通信が切られた。 ブラセルを留置所の外から見張るパスラの端末が鳴る。リーンだ。 『リーンです。今留置所ですか?』 「そうよ」 『ルシタ・ノールドさんを訪問するならブラセルさんを連れて行った方がいいと言われたので借りれますか?』 「分かった。今から駐車場に連れて行く」 『ありがとうございます』 一方もうスピードでミシエの自宅に向かっているホリディたちは… ミシエの住むマンションに到着した。 ホリディとキングがパトカーの両側のドアをほぼ同時に開けて出てくる。 「ここで待機しててくれ」 ホリディは後ろにいる鑑識チームに待機の指示を出した。 二人は、颯爽とミシエの自宅に向かう。 階段を駆け上がり、ミシエの部屋の濃いグリーンのドアまで来た。お互いに目で合図してキングがインターホンを鳴らす。すると、ドアに近づく足音が聞こえてきた。足音は玄関で止まり、ドアの覗き穴が開かれた。ミシエのようだ。彼女はまだ家にいた。 ミシエは、警察の姿を確認して、ドアを開けた。 「またですか?先ほども警察の方が…」 「あなたに聞きたいことが…」 ホリディが本題に入ろうとした瞬間、ミシエが素早くしゃがむ。すると少し離れた所に一人の体格の良い男がマシンガンを構えて立っていた。やがて男はホリディに向けて発砲する。 「伏せろ!!」 状況を先に確認したホリディが大声でキングに指示した。 薄暗い部屋が銃弾の火花に照らされ、複数の弾丸がホリディたちを襲う。
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