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ミシエを抑えていたホリディが落ちてきた用心棒に気付く。
用心棒は地面に身体を叩き付けられ、気絶していた。
ホリディは、落ちてきた建物の二階を見る。割れた窓から額から血を流したキングが、目で自分の無事を語る。そのサインに気付き、ホリディはほっとする。
「あんたの負けだ」
ミシエを抑えつつ、ホリディが言う。
やがて、連れてきていた鑑識たちが周りを包囲した。
一方、サクナと関係を持ったとみられる「O」の団員ルシタ・ノールドに会うため、リーンはブラセルを連れて「O」のアジトに来ていた。
「ブラセル様…戻られたのですか」
赤い瞳に頬位までのブラウンのショートヘアーをしたルシタは、ブラセルを見てホッとしたような表情になった。しかし、制服姿のリーン
を見ると再び不安げな表情を浮かべる。
「聞きたいことがあるんだ。彼女はリーン捜査官」
リーンはブラセルの紹介で軽く会釈をする。
「話とは…?」
「サクナ・マンティスさんのことを聞きたいのだが…」
「…」
ルシタは俯く。ブラセルはそんなルシタの肩に手を置き、宥める。
「大丈夫、必ず犯人を捕まえてくれる。あの時の反応を見て分かった。サクナさんとはそういう関係なのか?」
「…ブラセル様…ごめんなさい、私嘘をついていました…」
「なんのことだ?」
「サクナさんが活動している組織を少しだけ手助けしていました。異星人禁制の「O」の掟を破ってしまったのです…」
サクナ殺害1か月前--------------------
北都市の繁華街にあるフラワーショップ。
この時代では、観賞用植物は全てデータ化されており、香り、形、色などをオーダーメイドで注文することができるのだ。
この日、ルシタは注文していた花の会計をしていた。この時代の通貨は全てデータ化され、チャージ方式で個人の端末に
登録することで買い物をするのが主流になっている。どうやら、ルシタが会計に手間取っているようだ。
「金額が不足していますね…チャージしますか?」
無機質で長方形のAIが対処していた。
「あ…」
ルシタが自分のミスに困惑していた。
その時、後ろから、ある人物が個人端末を差し出しルシタの会計を済ませた。サクナだ。
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