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「あの…」
ルシタが更に困惑する。
「その反応だと持ち合わせが無さそうだな」
「…その…はい」
「誰かにあげるプレゼントなら早く渡したほうがいいんじゃない?」
「…ありがとうございます!…」
人見知りの性格だったルシタは深くお辞儀した。
「困っている人を助ける仕事をしているからね」
「あの、すぐ返しますので…その…連絡先を」
「こういう活動をしているんだ」
サクナは、所属しているボランティア支援グループ「FRIENDO」の名刺を渡した。
「いつでもいい。あんたのタイミングで返してくれれば」
数日後の夜、サクナはルシタに呼び出され喫茶店へ行く。
自動ドアが開かれサクナが来店した。
閑散とした店内に、赤い瞳の女性が座っていた。腰までの茶色い革ジャンにジーパン姿のサクナに気付き、一礼するルシタ。
「すまない遅れた」
サクナはルシタの向かいに座った。それと同時に、車輪が着いた店の帽子をかぶった円形のロボットが注文を伺う。
「ミルクティー。アイスで」
そのロボットは注文を受けて、厨房に行った。
「あの、この間はありがとうございました」
ルシタは、花の代金をサクナに渡した。サクナは一礼して代金を受け取り、上着にしまう。
「ボランティア支援をしているんですか?」
「あぁ、重病人や、介護放棄された高齢者をまとめて匿っている形だがな」
「…何かあったんですか?」
ルシタはサクナの浮かない表情が気になった。
「支援物資が足りなくてな…この人数を助けるためには、永続的な支援が必要なんだ。その支援先が見つからなくて…」
「助けてあげたいです。私の所属している団体が医療機関と繋がりがあって、支援活動もしています!」
「ほ、本当か…?」
「「O」という団体で…」
「すまない…「O」は頼れない。彼らは異星人を受け入れない…」
その時、喫茶店の外でサクナとルシタを見ている人物がいた。ミシエだ。ボランティア活動などで家に帰る時間が遅くなったり
、時には帰らない日もあったサクナを心配し、尾行していたのだ。
「…嘘つき…」
ミシエは、サクナがルシタと浮気していると信じ込み、憎悪の気持ちが増す。
店の外にたまたま目を向けたルシタは、ミシエと目が合った。
ミシエは、睨みつけながら、背を向けて夜道に消える。
ルシタは少し疑問に思いながらも、サクナと会話を続ける。
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