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二人は意気投合し、ルシタは「O」に隠れてサクナたちの活動を支援していた。やがて合う時間も増えた。その姿を、陰から監視していたミシエ。
現在。「O」アジト----------
「たぶん、二人でいる所を見ていたのが、サクナさんの奥さんです。…私が、サクナさんに近づいたばかりに…」
ルシタは感情が抑えきれず、泣き崩れてしまった。
「私はなんて愚かなのだ…親族もいない今も尚、ソマード家の仕来りを守ったことで涙を流す者がいることに気付かず、自分の地位に満足していた…」
ブラセルも涙を流し、泣き崩れたルシタに謝罪した。
鑑識は、ミシエの自宅から短剣のレプリカを見つけていた。
ミシエと用心棒は、火星警察北支局で取り調べを受けていた。
「よく出来てるな…」
短剣のレプリカを眺めるホリディ。
「…」
ミシエは黙秘を続けていた。
「「O」と「FRIENDO」のいざこざを良い事に、「FRIENDO」がゲリラ集団だと世間に広めたのも、「O」に入団し、罪を擦り付けたのも…あんただな?」
ホリディは、ミシエに淡々と語る。
「そうよ、私の苦労も知らず、サクナは他の女と合っていた。ボランティア活動をしていると私に嘘をつき続けたことが許せなかった…」
『…それは違います』
その時、取り調べ室にルシタから通信が入った。ホリディとリーンの計らいで、ルシタにも取り調べを聞いてもらっていたのだ。
『私は、ルシタ・ノールド』
「命を落とさなくて運が良かったわね」
ミシエは悪態をつく。
『…サクナさんとは、確かに頻繁に会っていました。それには理由があって、ボランティア活動を手伝っていました。私の所属している「O」は医療機関と繋がっているので。でも、異星人禁制の団体なので隠れて支援する必要があり、人通りの少ない所で、医療物資などを渡していました…。』
ルシタの語る真実に、言葉を詰まらせるミシエ。
「…そんな…私は…てっきり…」
ミシエは泣き崩れる。
ホリディは泣き崩れるミシエの肩に手を置き、宥める。後輩の捜査官に目で合図をする。その合図は、「彼女を逮捕してくれ」のサインだった。
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