episode3 「犠体」

1/13

8人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ

episode3 「犠体」

これまでのDUALは----------------------- 火星人ハーフであるサクナ・マンティスが、勤め先の検問施設で殺害され、火星警察北支局のメンバーが担当になる。その亡骸は、異星人禁制の宗教団体「O」の紋章を模られていた。まるで、「O」に恨みがあるかのように。警察は同時期に「O」と揉めていたボランティア支援グループ「FRIENDO」の犯行も視野に入れていた。しかし、それは全てサクナの妻である、人間のミシエ・マンティスの策略だった。ミシエは、サクナの浮気を疑い、自分の憎悪に耐え切れず、「O」と「FRIENDO」のいざこざを利用して殺害してしまったのだ------ 北支局 2F 共有室 この部屋は、担当捜査官の代表者が、事件の記録を専用端末に打ち込み、登録するための一室である。縦2m横4m程の巨大なモニターに表示され、同じ支局に所属している捜査官は誰でも観覧できるようになっている。 サクナの事件記録をキーボードで入力しているのは、金髪オールバックがトレードマークのホリディだ。入力を終え、数ある事件資料の表紙を眺める。 「減らないねぇ…」 ホリディは、軽くため息を付きながら、モニターの電源を切り共有室を後にする。 北支局2Fには、射撃訓練室もあり捜査官たちが日夜特訓をしている。 暇な時間ができたため、ホリディは射撃訓練室を覗くことにした。 防音処理が施された厚さ50cmの自動ドアが真上に開き、ホリディが訓練所に入る。 射撃訓練所は、縦長のボックス型の部屋が横一列に5つ並んでいて、使用中ならばドアが赤く点滅し、捜査官の名前が表示される。 どうやら、火星人ハーフで水色の肌を持つ新人女性捜査官のリーンが射撃訓練をしていた。 ホリディが小窓から様子を伺う。リーンはホリディに気付き、会釈をしてドアを開けた。オレンジのタンクトップ型のトレーニングウェアを着たリーンが出てくる。 「お疲れ様です!…あの、私になにか…?」 「なんか暇でさ、何してんのかなぁって」 「見て分かりませんか?私は暇じゃないんです」 「相変わらずだね…お前のそういう性格嫌いじゃないぜ」 「…あの…本当に暇なんですね」 リーンが冷たい目でホリディを見る。 その時、北支局内にサイレンが鳴り、通報連絡係から事件発生のアナウンスが流れる。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加