episode3 「犠体」

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『事件発生。西都市ネスラタウン1-45R通りで若い女性の遺体が発見されました。現場チームの捜査官は直ちに急行してください』 「暇じゃなくなりましたね」 「そのようだ」 二人は1Fにある作戦会議室に向かった。ここでは、スキンヘッドで強面の北支局長ウェーブを中心に現場チームの編成が行われる。 いつもの現場チームメンバーが集まった。 ホリディと長年組んでいる黒髪でアジア系の男性捜査官キング。 肩までの黒髪を軽く巻き、赤いリップを付けている女性捜査官パスラ。 元軍人で、黒人坊主ドレッドに顎髭を生やした大柄の男性捜査官フレイム。 そして、火星人ハーフの新人女性捜査官リーン。 最初に口を開いたのはいつもの如くウェーブだ。 「今回は裏路地で発見された女性の遺体を調べてほしい。現場をパトロールしていた捜査官の情報だと、自殺の線が濃厚らしい。リーン、この事件を担当できるか?」 「はい!」 ウェーブがリーンを指名した。 「まぁ、まだ現場には慣れていないだろう、キングが付いてやれ」 ウェーブは、キングとリーンを組ませた。 「了解」 キングはいつも通りクールに返事をする。 「他のメンバーは支局に残り、身元の調査などを進めてくれ」 《了解》 現場チームはウェーブの指示に従い、解散した。 リーンは、キングの元に寄る。 「あの…よろしくお願いします!」 初めてのバディに緊張しているのか、深々とお辞儀をした。 「そんなに固くなるな…行くぞ」 「はい!」 キングとリーンは、配車室へ向かった。 北支局3Fにはオフィスがあり、各捜査官に専用のデスクが設けてある。 長方形のモニターが5枚並んでおり、各列共有して使う形になっている。 「結局暇か…」 ホリディがオフィスからコーヒーを片手に窓の外を眺めていた。 「私、ちょっと行きたいところがあるから出るわね」 パスラがオフィスを出て行った。 「男かな…」 ホリディはパスラの後ろ姿を見ながらフレイムに話しかける。 「制服で会うか?」 フレイムは否定した。 「それもそうだな…。なぁ警察ってこんなに暇なのか?」 「暇ってことは平和なんだろう」 「こうしている間にも火星のどこかでは事件が起きてるよな」 「警察は町の監視者なんて言われるけど、通報が入らなければ行動できない」 「お前、たまに暗いよな」 「…」
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