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西都市ネスラタウンの現場へパトカーを走らせる。運転はキングだ。
ネスラタウンとは、カジノやクラブ、劇場などが密集する娯楽が盛んな街だ。
巨大な電光掲示板が設置され、街灯の意味を成していない。
北支局から車で30分ほどでそう遠くはない。
運転しているうちに、ネスラタウンが見えてくる。
「ネスラタウンに行ったことは?」
キングが運転しながら助手席のリーンに聞く。
「あります、10年前ですけど。演劇を観に」
「フローネン劇場か…」
フローネン劇場とは、舞台俳優のエルメス・フローネンが20年前に建設した劇場で、今では増築工事され、多くの人で賑わっている。
「知ってるんですか?」
「まぁ、有名だからな」
「フローネン劇場は大きくて見やすいんです」
キングはパトカーをタウンの入り口の脇に止める。
まるでテーマパークのような装飾の施された看板が迎える。
キングとリーンは車を降りて現場へ向かった。
付近をパトロールしていた捜査官たちが非常線を張って辺りを調べている。
鑑識も何人か来ていた。
ビルの5階の窓ガラスが割れ、破片が路地に散乱していた。その中心に若い女性が額から血を流して息絶えていた。横には、一緒に落ちたと思われるひしゃげた車イスが落ちていた。
一人の若い捜査官がキングたちに近寄る。
「お疲れ様です。パトロール課のファイス・トルメンです」
小柄の短髪パーマで褐色肌のファイス捜査官が自己紹介をする。
「キング・ウォンだ」
「リーン・サンテです」
二人も続けて自己紹介した。
「こちらへ」
ファイスが二人を遺体の場所へ案内しつつ調査結果を報告する。
「該者は北都市エリア11在住のコリン・アデマス23歳。人間。舞台女優のようです。鑑識の調査によると、半身麻痺を患っていて車イスを使用しているようです。半身麻痺での女優活動に限界を感じ、自ら飛び降りた可能性が高そうですね」
「舞台女優ってまさか、フローネン劇団?」
リーンがファイスに聞く
「えぇ、詳しいですね」
「この辺りじゃそこしかないですから」
「遺体を北支局に運んでくれ、俺たちはフローネン劇場へ行く」
キングがファイスに指示し、リーンを連れてパトカーへ向かう。
「分かりました」
ファイスは、鑑識たちに指示を出す。
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