episode3 「犠体」

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「そうか…車イスのほうは…だめか」 「このレベルの損傷だと復元して調査するのは難しいわね」 二人は、グシャグシャにひしゃげた車イスを見て話す。 「…順調には行かないな…」 ホリディはそう言いながら腕の専用端末でキングに連絡する。 フローネン劇場のゴミ処理場で、切断されていたアンドロイドを調査しているキングが応答する。 『キングだ』 「遺体を鑑定した結果他殺の線は薄そうなんだ。目立つ外傷がない」 『そうか、報告感謝する』 キングはいつも通り冷静に答え、通信を切った。 一方、遺体現場近くの窓ガラスが割られたビルを調べているファイスは、ビルの管理人に会っていた。どうやら事件当時の監視カメラを確認してるようだ。 「暗いな…」 事件当時のカメラには、車イス姿の女性が窓際で外を見ている様子が映っていた。しかし、この部屋だけ異様に暗く、部屋の内装が捉えられない。 「この部屋は、普段倉庫に使っているので、監視カメラの点検を行っていないんですよ」 小太りの火星人ハーフの管理人が言う。 その時、監視カメラに写っていた車イスの女性が、後退し、勢いよく窓ガラスに突っ込み、ビルから落ちた。 「車イスの誤作動か…?もう一度再生できます?」 管理人はファイスの指示で再生ボタンを押す。 「赤いランプが点滅している…」 ファイスが車イスのランプに気付いた。 フローネン劇場----ゴミ処理場--- 散らばっていたアンドロイドの破片を集め、人型に並べた。 「まさか、コリンはこのことを知って…?」 サズが切断されたアンドロイドを見て言った。 「…」 キングはこの状況に違和感を感じていた。腕を組み顎に指を添えて推理する。 「私、聞き込みに行ってきます」 リーンはそう言って、ごみ処理場を後にした。 「まだ調べられます?」 ロールがキングに問いかける。 「あぁ、少しだけ」 「私たちは、状況を団員とスタッフに伝えてくるわ」 「鍵をお渡しするので、出るときは閉めてください」 ロールがキングに長方形の鍵を渡し、サズと共に去る。 一人ゴミ処理場に残ったキングは辺りを調べる。すると、アンドロイドを引きずったようにみられる跡が、ごみ処理場の壁際に付いていた。どうやらオイルのようだ。地面に慕ったオイルには足跡があった。 キングは腕の専用端末を調査モードに切り替え、オイルに付いている足跡をライトで照らす。
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