episode1 「団体」

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「巷で噂の宗教団体「O(オーズ)」か。続きは局に持ち帰ってからだな」 ホリディは北支局の鑑識管、ゾイ・ブロウに連絡した。 北支局のゾイのデスクにホリディからの通知が届き、小さなモニターがデスクの端から出てきた。作業中でもすぐに確認できるように、そのモニターに視点を合わせるだけでページを開けるシステムになっている。 「ゾイ、これから亡骸をそっちに運ぶ、解剖の準備をしてくれ」 モニターには指示を出すホリディが映っていた。 「分かったわ」 ゾイは腰までで切られた白衣を纏い、解剖室へ向かった。 「こっちも準備するか」 ゾイに用件を伝え、通信を切るホリディ。 鑑識が、大型の車にサクナの遺体を入れた。 車には南支局を示す「South.Police.Depertment」と書かれていた。 現場チームの乗る車が続々と北支局に到着する。 火星警察北支局の建物の形は楕円型で半分は地面に埋まっている。まるで半分に切ったゆで卵のようにも見える。 遺体は、専用の搬入口に運ばれる。 各支局には、入り口とは別に、遺体解剖室に繋がる搬入口がある。カプセル型のエレベーターに遺体を入れ、操作すると自動的に解剖室のエレベーターシャフトに届く。全ての処理を終え、南支局の鑑識たちは去っていった。 「お勤めご苦労さん」 ホリディは局の入り口に向かいつつ鑑識に声を掛けた。 エントランスで三人は立ち止まった。 「手分けをしよう。リーンはサクナの身元をもっと洗ってくれ。キングと俺はそのまま解剖室だ」 ホリディは、二人に指示を出す。 「分かりました、では後程」 リーンは、サクナの身元を更に詳しく調べるため、自分のデスクへ向かった。 ホリディ、キングはゾイのいる解剖室へ向かう。 その途中で、リーンの話をしていた。 「リーン・サンテか…。ルーキーのくせに遺体を前にしても冷静だよな。俺がルーキーだった頃なんて、飛び散った血でさえも吐き気がした」 ホリディはリーンを褒めていたようだ。 「現場の仕事もまだ数回のはずだがな。過去に何かがあったのかもしれない」 キングも認めているようだが、やけに冷静なリーンの過去が気になっていた。 「ま、仲間が増えて嫌な気分じゃないよな?」 ホリディが笑みを浮かべながら話す。 二人が話をしている間に解剖室に到着した。自動ドアが開き、二人はゾイに立ち寄る。
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