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「巷で噂の宗教団体「O(オーズ)」か。続きは局に持ち帰ってからだな」
ホリディは北支局の鑑識管、ゾイ・ブロウに連絡した。
北支局のゾイのデスクにホリディからの通知が届き、小さなモニターがデスクの端から出てきた。作業中でもすぐに確認できるように、そのモニターに視点を合わせるだけでページを開けるシステムになっている。
「ゾイ、これから亡骸をそっちに運ぶ、解剖の準備をしてくれ」
モニターには指示を出すホリディが映っていた。
「分かったわ」
ゾイは腰までで切られた白衣を纏い、解剖室へ向かった。
「こっちも準備するか」
ゾイに用件を伝え、通信を切るホリディ。
鑑識が、大型の車にサクナの遺体を入れた。
車には南支局を示す「South.Police.Depertment」と書かれていた。
現場チームの乗る車が続々と北支局に到着する。
火星警察北支局の建物の形は楕円型で半分は地面に埋まっている。まるで半分に切ったゆで卵のようにも見える。
遺体は、専用の搬入口に運ばれる。
各支局には、入り口とは別に、遺体解剖室に繋がる搬入口がある。カプセル型のエレベーターに遺体を入れ、操作すると自動的に解剖室のエレベーターシャフトに届く。全ての処理を終え、南支局の鑑識たちは去っていった。
「お勤めご苦労さん」
ホリディは局の入り口に向かいつつ鑑識に声を掛けた。
エントランスで三人は立ち止まった。
「手分けをしよう。リーンはサクナの身元をもっと洗ってくれ。キングと俺はそのまま解剖室だ」
ホリディは、二人に指示を出す。
「分かりました、では後程」
リーンは、サクナの身元を更に詳しく調べるため、自分のデスクへ向かった。
ホリディ、キングはゾイのいる解剖室へ向かう。
その途中で、リーンの話をしていた。
「リーン・サンテか…。ルーキーのくせに遺体を前にしても冷静だよな。俺がルーキーだった頃なんて、飛び散った血でさえも吐き気がした」
ホリディはリーンを褒めていたようだ。
「現場の仕事もまだ数回のはずだがな。過去に何かがあったのかもしれない」
キングも認めているようだが、やけに冷静なリーンの過去が気になっていた。
「ま、仲間が増えて嫌な気分じゃないよな?」
ホリディが笑みを浮かべながら話す。
二人が話をしている間に解剖室に到着した。自動ドアが開き、二人はゾイに立ち寄る。
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