エピローグ

4/5
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「そういえばさっきニュースで見たが、処置の独占使用権を持っていたN社上層部の大半が〝死体として処分〟され、N社はもはや空中分解同然とか」 『ならば今後はもっと自由にやれるな』  彼の頭部は体の方とは別のケースに収められているが、そちらは外部にマイクとカメラが搭載されており、私の声や外の状況が彼に伝わるようにしてある。また、肺と繋がっていない頭部だけでは声を出すことはできないが、舌につけられたセンサーを介して彼の言葉は私の端末に表示されるようになっている。 『そもそも、一時的にとはいえ一部の富裕層しか処置を受けられないという状態こそが間違っていたのだ。科学の進歩による恩恵は全人類が等しく享受できなくてはならない。皆が処置を受けた状態になっていれば、あの事件の子供達も死なずに済んだ。処置を受けた者と受けていない者が対立し、今のこの国のように受けた者が迫害されるような状況にもならなかった』 「しかしさすがに全人類に処置を受けさせるとなると、世界中の病院に協力を要請したとしても何年かかるか分からんよ?」     
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!