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黄色と白のドレスの裾が横に大きく広がっている。それが、小さな歩幅で進む真由の足を隠してしまう。ますます不安が募る。
たくさんの目がこっちを見ている。怖い、怖い――
小さな胸が壊れてしまいそうな程に大きく早鐘をうっていた。
疎らな拍手の中に母の声が混じっていたような気がする。
「真由ちゃん、しっかりね!」と。
そんな事を言われても、何をどうすれば良いのかなんて分かるわけがない。
転ばずに椅子までたどり着くことーーそれしか頭になかった。
ようやく椅子の所まで来ると、先生がしゃがんで高さを調節していた。
「真由さん、お辞儀」
小さく言われて、ハッとする。慌ててペコリと客席に向かい頭を下げると、くるくる巻いた髪が揺れた。
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