見舞い

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お腹が落ち着いたところで 湯船につかり、手早く髪と体を洗った。 風呂から上がり、 脱衣場で背中と髪を拭くのを伊織に手伝ってもらう。 「痩せたんですね」 新しいパジャマを着せかけながら伊織が言う。 「そう?」 私はパジャマのボタンを嵌めながら答える。 「はい…」 この人は私の背中をからだで知っていたんだと 今更気づく。 髪は伊織がドライヤーを掛けてくれた。 私をベッドに座らせ、 乾いた髪をさらに櫛削ってくれる。 とっさに「髪を洗いたい」と言ってしまった理由に やっと気づいた。 伊織が触れてくれるからだ。 抱き合う時、伊織は必ず私の髪を撫でてくれる。 「また…連絡したら来てくれる?」 「…はい…?」 何故そんなことを聞かれているのか分からないといった 応え方だった。 私はだまってうなづく。何か言ったら泣きそうだ。 もうだめだ。 私の方から、伊織を切ることなんて多分できない。 このまま歳をとって、伊織にいい人が現れて、 捨てられるまで こうしているしかできない。 「疲れませんか。横になりますか。」 「うん。」 ふとんにもぐった時、チャイムが鳴った。 「杉本です」 最悪のタイミングだ。
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