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「いや、今の話から推測すると……俺一生童貞じゃん……?」
「当たりまえじゃん! 彼女が居たらアタシらみたいなアンドロイド作らないっつーの。ウケるー!」
「ふぐぅ!?」
正論すぎて、涙が止まらなかった。
「なに? アンタ年とれば自動的に彼女ができると思ってたの?」
「やめて! 今の俺に現実突きつけるのはやめて!」
「だったらさ!」
千代子堂夏は、俺の胸ぐらをむんずと掴んで、顔を近くに寄せる。
「青春すりゃいいじゃん。後悔するのがわかってる分、怖いもんなしでしょ?」
「……」
「それに、アンタの大好きな巻き込まれトラブル主人公だよ? これ逃したら一生青春なんてできないよ?」
いや、怖いものは怖いだろ。という言葉は、生唾と一緒に飲み込んでしまった。
「まぁ、とりあえず、アタシはアンタの遺言通り、アンタを青春させるからさ。よろしくね」
俺は決めた。未来は無数に枝分かれしている。だから、俺が童貞じゃない未来もきっとあるのかもしれない。
ならば、この夏はちょっと青春してみても、いいのかもしれない。
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