小説家を目指して

健太

　俺は健太。20歳。小説家を目指す大学生だ。大学では英文学科でイギリス文学を学んでいる。

　日本の文学ってやつはイギリスに比べればちまちました虫みたいなもんさ。なんせイギリスの文学は、あれ、イギリスの文学ってどんなのだっけ。いや、まあそんなこともある、ど忘れってことだよ。

　大学には友達がたくさんいるんだ。ダンスサークルの奴らは面白くていい奴ばかり。ツヨシなんて昼飯を食べるお金もケチるのに、この前無理して新車を買っていたよ。

　俺の右手の火傷が気になるかい。昨日、新宿のライブハウスで仲良くなった連中と、ロケット花火を打ち合ったのさ。やりたい事はやりたい時にやる。爽快な夏じゃないか。花火大会の日まで待たなきゃいけないなんて御免だね。

　まあそうして毎日を楽しんではいるのだが、そろそろ小説を書き始めようかな。俺が日本文学の新たな夜明けとなるやも知れぬ。最初の一文はそうだな、主人公の名前から入ろうか。