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私は床にふっ飛ばされる。
「最低」
杉本をにらみつける。怒っているのとあきれているのと入りまじった顔だ。
打たれた頬がひりひりと熱を持ってくる。
「最低はどっちだ。アタマおかしいんじゃないのか?
何が自分のものにしただ。オマエら二人ともおかしいよ。
こんなアタマのイカレたメス犬と結婚しようとした僕がバカだったよ」
「本当ね」
「こんなことになって、まだあの職場にいるつもりじゃないだろうな」
「明日退職届出します。」
杉本は背広を持って立ち上がる。
「まあ、雇用保険はすぐ出るように手配してやるよ。じゃあな」
出て行った。
私はなんてバカなんだろう。
こんなことになって初めて分かった。
いや、認めるのが怖くて目を背けていたのだ。
杉本の言う通り「アタマのイカレたメス犬」なのに、
身の程知らずなことに
森田伊織を愛している。
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