動き出した物語

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・・・何故だ。 「うん、美味しい。」 バクバク目の前にある皿から食材が消えていく。 「もう少し濃い味の方が好みだなぁ。」 せっかく作ってやったペペロンチーノにいちゃもんまで付けたよ、このガキ。 というか、何故作ってしまった。 ご飯炊いてなかったからパスタか蕎麦しかなくて。 蕎麦なら絶対ネギ欲しい、と在庫に無い食材を指名したガキの為にわざわざパスタにしてやったのに。 冷蔵庫にベーコンあってよかった。 あ、いや違う。流石に素パスタは申し訳ないし。ん?いやいや。 ・・・本当に。 「ご馳走様でした。」 「お粗末様でした。」 食べ終わった皿を洗い、またソファでゴロゴロしだしたガキを横目にしながらまたため息が出た。 「なにしてんだ・・・。」 知らないガキ連れて来て、強請られるままご飯作って片付けて。 「オネーサン、お風呂入りたい。」 私はアンタのお母さんか。 でも、律儀にお湯を溜めに行く私は何だ。 その後もガキの注文に何だかんだ付き合って、時計の針は1番高い位置から2つ進んで重なる。 2時過ぎてるじゃん。 「もう寝る。朝出てく時は鍵閉めなくていいから。」 なんか疲れた。 あれ取って、あれしたい、中々面倒でリラックスする筈の自分の家で疲れた。
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