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憂さ晴らし。
今日だってそんな程度にしか思っていなかった、いつも通りの週末。
「トモー!待ってたよー!」
とある路地の地下にあるそこは、よくわからない洋楽が大音量で鳴り響き、酒を煽り、目がチカチカする装飾が施された内装に、大学生やどこかチャラチャラした人、鬱憤の溜まった大人達がひしめく空間。
異性を漁りに来る人、ちやほやされたい人、寂しい人、ただその空間に居ることに溺れる人。
漏れずに私もそんな1人。
「トモ!はやく!こっちこっち!!」
BGMに負けず劣らずの甲高い大音量で名前を呼ばれ、顔見知りの女に向かいヒールを鳴らし歩く。
「今日は来ると思ってたから待ってたんだー!奥行こう!今日はとっておきのイケメン来てるんだよ!!」
「なにそれ、面白そう!」
BGMに邪魔されないように声を張り上げて喉が痛い。
女は相変わらず香水臭いし、派手だし、全体的になんか赤多い赤女だ。もう酒臭い。
この女といると注目されるから面倒くさい反面、その分いい獲物が釣れる。
まぁ利害の一致程度の付き合い。
大人になってから、人間関係こんなもんかって付き合い方も覚えた。
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