第1章 記憶

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そのひとの顔を見ようとした時。 そのひとの紺色の洋服の袖を固く握り締めてた私の手に、真っ赤な絵の具が降ってきた。 私は驚いて、顔を上げた。 そのひとは。 そのひとは、私のよく知るひとだった。 その事実に更に安心し、笑おうとして、頬が引き攣った。 私を抱き締めてくれるそのひとの額から流れる、鮮血。 額から左頬を伝い、首筋まで真っ赤な筋が伝っていた。 もうひと粒。 私の手に赤い雨が落ちる。 言いようのない恐ろしさが私を襲い、身体が震え出す。 叫んでしまう直前。 突如、右脚に走る、激痛。 恐る恐る、私は痛みのある自らの右脚に視線をやった。 私の太股から大量の真っ赤なものが流れ、辺り一面を染めていた。

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