第44章 彼氏

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『好き』か『そうじゃない』のか-答えは、ひとつ。 はっきりさせたくて口にしたのは確かだが、無数の針が刺さっている如く胃が痛む。 ようやく彼女の気持ちが明確になるのだと思えば、この上なく張り詰めてしまうのも無理はなかった。 「…嫌じゃなかったんです」 しきりに苦痛を訴えてくる胃の辺りを手で擦ろうとし、昴の手は止まる。 「いきなりされて、ほんとにびっくりした。何も言ってくれない先輩に凄く腹が立ったし、哀しくもなった。…けどやっぱり『嫌じゃない』って、この間先輩と話してみて分かったから」 -だから。 咲姫の言葉は中断され、待てども次はない。 その先が欲しいのに、困ったように俯き、淡いピンクの唇を結んだまま。 覚悟していた最悪のものではなく、昴は絶句するしかない。 彼女が何を言っているのか-多分、理解出来てる。 『嫌いじゃない』なら-なに? なら彼女は、どうだと言うのか。 ちゃんとした返事はもらえてないくせに、もう勝手に思い始めてる。 過度な期待など、必要以上の落ち込みをもたらすだけなのに。
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