夏が来た

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しかし同居人の波田は、見た目と違ってトイレットペーパーの代えや無くなった牛乳の買い出しをするタイプではないし、全体的に雑な所があって、夏に波田がごみ出しの担当をすると、えらいめに遭うはめになる事もしばしばだった。 ◇◇◇ 夏が来て、何度目かのケンカをして、その日は二人そろって休みで、一杯呑んだ。ほろ酔いの波田はマンションを飛び出した。 頭を冷やす為に、一人部屋にいると知りあいの巡査から、パトロール中に本屋の駐車場にある凌霄花棚の下で波田が寝ていると連絡が入った。 その本屋は近所なので、鍵とスマホだけもって部屋を出た。 その本屋に着くと知りあいの巡査はもう一人を帰し、自分に注意して帰って行った。 波田は橙色がこぼれ落ちそうな凌霄花棚の下にあるベンチで猫のように寝ていた。 ゆすり起こして、マンションに連れ帰った。 その後、話し合いをしたが、癖はなかなかなおらないし、反省もしないので諦めている。
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