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「あれ、七海先輩じゃない!あの横断幕」
女の子の声が上がった。
窓越しに見える三年生用の校舎の屋上から、センセイたちが横断幕を下ろしていた。
幕にはでかでかと「祝い 剣道 国体出場 紫藤 七海(しとう なつみ)」と書かれている。
七海先輩は、この高校に通う学生なら誰でも知ってる、超有名人だ。
街を歩けば通りすがりの人がみんな振り返る美人で、昔からやっている剣道ではこの通りの実力、頭もずば抜けている。
完璧なのにそれを鼻にかけることもなく、性格も気さくでいつも友達やファンに囲まれていて、周りをパッと明るくしてくれる。
そんなんだから、いつも話題の中心だ。
「七海先輩、さすがだよね」
「先輩に聞いたんだけど、夏はアメリカ留学して、海外の大学生と生物の研究だって。」
「竹下通りでオスカーにスカウトされたらしいよ!」
「才色兼備文武両道。てやつか」
今だって下級生のクラスでも、口々に噂される存在だ。
すずはクラスメイトに目を向けて、
「すずは好きじゃないなー、完璧すぎてむかつく」
と言うと笑ってあたしの肩越しをのぞいた。
あたしもつられて、チラッと後ろを見た。
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