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しかもいい男だ。爽やかなイケメンと呼んでいいだろう。口ものとホクロがチャームポイントだ。俳優ですといわれても納得できる。私が平成に生まれていたら飛びついてでも「頭に葉っぱがついてますよ」ときっかけをつくるのに。
高身長のイケメンが頭に葉っぱをのせてJR山手線にむかって歩いている。
若い女の子たちが彼をチラチラ見つめている。わざと近くを歩いているお姉さんもいる。おそらく平成に生まれた彼女たちは端正な顔だちを見ながら彼の勤め先と年収に想いを馳せているのだろう。それにしても……。
(なんでだれも葉っぱに突っ込みいれないんだろ)
私の眼鏡が遠近両用だからか? 毎日だぞ。突っ込めよ。
(という私が突っ込めないんだからだれも突っ込めないか)
山手線内回りホーム。今朝はたまたま彼の後ろに立った。葉っぱは落ちていない。ぺっとりはりついている。
(肩幅あるな~)
凝視していたら私の後ろと真横から殺気が漂う。ミニスカートが似合うオフィスレディーたちが体育館の裏に来いや、とでも言いたげな顔をなさっている。これほどまでにイケている彼がバブルの恩恵を受けた昭和生まれを相手にするわけがないのに。それともライバル視されるということは、私もまだみずみずしいということか。
(ふふふ)
緑の山手線が滑り込んできて大量の乗客が下車し、同じ量の人が乗り込む。勤め人、学生、外国人観光客。山手線は色々な人種のるつぼだ。
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