葉っぱ

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(立ち止まってるの私だけじゃないし)  彼は団体競技ができるほどの女性に囲まれていることに気付いているのか。 (……あ、葉っぱ!)  取ってあげるの今がチャンスではないか?  私は動き出した。そこに葉っぱがついているなら取ってあげるのは親切心。  産んでいてもおかしくないほど年下のイケメン公務員とロマンスを開幕させようだなんておこがましいことはミジンコほどにも思ってはいない。私にも年齢なりのわきまえはある。  ただ、頭の葉っぱが気になるだけだ。 「毎日ついているから気になってました」  印象に残るようなセリフは用意済みだった。痛いオバサンここに誕生である。  攻撃的な視線を四方八方から感じる。ドッヂボールでひとりコートに残されてしまった逃げ専門がコート外の平成生まれたちに当たると痛いボールを投げつけられているかのようだ。 「うわあああああああああっ!」  ところが悲鳴は男の声だった。 (え?)  高身長イケメン公務員(職業想像)が頭をかきむしりはじめたのだ。  びっくりした若い女性たちはそそくさと会社に向かって去っていく。 「なんてことを!」  彼がヘドバンをはじめた。 (なにごと?)  葉っぱを手に立ちすくむ私が間抜けみたいな感じに。 「返せ!」     
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