1人が本棚に入れています
本棚に追加
いま、猛烈に泣き寝入りしたくない気分。
(行くぞ、コンチクショウ!)
こんなに猛ダッシュしたら心臓が粉々になるかも知れない。あの頭に手は届くのか。いや、届かせてみせる。奇跡は起きる。起こしてみせるって最初に言ったの誰だ?
(この私をバカにするなあぁぁぁぁぁーーーーーーっ!)
少年漫画だったら見開きでパンチを繰り出している場面だが、暴力のかわりに頭の葉っぱをもぎとってやった。
(後ろから卑怯とか言うなよ、先に後ろから暴吐いたのはそっちだからな)
不可能に近いほど成功するのが奇跡だ。
私の手には桜餅包んだらちょうどよさそうな葉っぱが握られていた。
(よし!)
振り向かない。走るんだ。隙をみせたらまた奪い取られる。
(とにかく出社だ。会社に行くんだ!)
生計を立てるため、私の面倒を私がみるため。仕事人に遅刻は許されない。
しばらくしたら、背後から昨日と同じ彼の悲鳴が聞こえてきた。やばいやばい。追いかけられる。
普段運動しないし、低血圧だし。男性の足では簡単に追いつかれる。
(絶対逃げ切るんだ! イケメンにやりかえしてやるんだ! 人の親切をバカにすると痛い目に会うことを学習させるんだ!)
最初のコメントを投稿しよう!