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――――わたしも、好きになりたいから。
日が落ちる。
あの日に見た淋しそうな横顔が、今日はとても穏やかで優しい。
困ったような笑顔は、わたしだけが知っている樹くん。
「なあ、好きになった?」
「まさか。もっとわたしを誘ってみてよ」
「七海こそ、贅沢だな」
「あなたに言われたくない」
樹くんの好きに、わたしの心が満たされていく。
樹くんが好きで、たまらない。
「ねえ、一緒に帰ろうか」
「……いいよ」
わたしは初めて、彼に隣を許した。ここは、あなただけのもの。樹くんしか、許さないから――――。
END
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