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「わたしは靡かない。どんなに顔が良くても、勉強できても、わたしにとっては同級生。ただのクラスメイトよ」
意地悪だったかもしれない。でも、わたしは思ったんだ。
そんなふうに思うのは、ただ珍しかっただけじゃないの? 樹くんに興味を持たないわたしが、不思議で仕方ないだけ。
恋とは、違う。
「七海じゃないと意味がない」
樹くんはなぜ、わたしにそんなことを言うの?
他に女なんて、たくさんいるのに。好きだって言ってくれる人は探さなくたっている。
どうして、そんなに頬を染めているんだろう。わたしには、わからない。
「好きなんだよ、七海が!」
真っ直ぐに気持ちをぶつけられて、靡かないはずがない。
わたしは、多分好きなんだ。好きな気持ちに正直になれずに、避けていた。ずっと……。
忘れ物なんてしないように、慎重になったのは樹くんのせいだ。
でもやっぱり自信がない。この気持ちは恋愛じゃないかもしれない。ただ、びっくりしているだけかも。
「そんなにわたしが欲しいなら、靡かせてみせればいい」
そんな言葉がわたしの口をついて出た。
「わかった」
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