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そう言うと、右手はわたしの手を絡めとるように握る。左手は黒板に押し付けたまま。
近づいてくる彼に、鼓動がおかしくなった。ふわりと、彼の前髪が触れる。
どうしようと思っていると、頬にキスされていた。優しくて、でも脅えるように震えていて。
樹くんの温もりがわたしを包んで離さない。
唇が離れると、
「絶対に好きだって言わせてみせる」
「わたしは手強いわよ」
そんな会話を交わして笑い合う。
学校一のイケメン王子が、わたしに夢中。
滅多にない経験。少しだけ焦らしたくなる。
まるで立場が違う今という時間。少しだけ快感。
「七海が好きだ」
わたしも、樹くんが好き。
でも、まだ教えてあげない。もっと、好きになって欲しいから。夢中になって欲しいから。
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